リハビリ技術

関節可動域運動の効果的な活用を考える

関節可動域運動(Renge of motion)は、筋力強化や拘縮改善、固有感覚改善など様々な状態を改善できるアプローチ方法です。

但し、効果を上げるには、対象者の状態に応じて適切に使い分け、正しく実施することが重要になります。

今回は、関節可動域運動の目的に応じた使い分けについて、私の考えをお伝えします。



関節可動域運動の主な目的

  1. 軟部組織(筋、腱、靭帯、皮膚)の萎縮・短縮の改善
  2. 筋力強化
  3. 固有感覚の改善
  4. 血流改善
  5. 滑液分泌による関節の摩擦軽減

関節可動域運動の注意点

  1. 疼痛が起こらない範囲で実施する
  2. 正しい運動方向に動かす
  3. 術後や炎症などの禁忌事項を確認する
  4. 抵抗感を感じたら慎重に動かす

各種運動について

関節可動域運動には他動運動、自動運動、自動介助運動、抵抗運動があり目的に応じて使い分けることでリハビリの効果が上がります。

他動運動

他動運動とは対象者自身で運動を行わず、検者が対象者の関節を動かす方法です。

①評価の目的

  • 純粋な関節可動域の範囲を測定
  • 関節可動域の制限因子の鑑別

②治療の目的

  • 軟部組織(皮膚、筋、靭帯、腱)の柔軟性改善
  • 緊張緩和(遅筋の働き)

③実施のポイント

  • 対象者が検者に身体をしっかり預けた状態で動かす。
  • 呼吸に合わせて丁寧に動かす。

自動運動

自動運動とは対象者のみで関節を動かす方法です。検者の指示により運動を修正します。

①評価の目的

  • 自力で動かせる関節可動域の範囲を測定
  • 他動運動での可動域と比較
  • 効率的な運動(姿勢の安定)

②治療の目的

  • 筋力強化
  • 運動の質の向上
  • セルフケアや生活動作につなげる

③実施のポイント

  • 姿勢が崩れない範囲で動かす
  • 代償運動が起こらないように動かす



自動介助運動

自動介助運動とは対象者が関節運動を行う際に、検者が補助しながら一緒に動かす方法です。

①評価の目的

  • 重力を除去した状態で動かせる関節可動域の範囲を測定
  • 固有感覚の評価

②治療の目的

  • 筋力強化
  • 運動の質の向上
  • 固有感覚の改善

③実施のポイント

  • 過介助にならないように、対象者の身体の重みを感じながら誘導する。
  • 代償運動が起こらない範囲で実施する。

抵抗運動

抵抗運動とは検者が運動方向に抵抗をかけた状態で動かす方法です。

①評価の目的

  • 関節運動の最大出力の測定(MMT)

②治療の目的

  • 筋力強化

③実施のポイント

  • 自動運動で正しく運動が行える方に実施する。
  • 呼気に合わせて実施すると代償運動が起こりにくい。
  • 代償運動が起こらないように抵抗を調節する。