ケア技術

リハビリやケアで検者・介助者が身体を痛めない位置取りを考える

リハビリやケアで対象者に対して自分がどこに位置すると

「楽に誘導できるか?」

「対象者の身体機能を使って効果的に誘導できるか?」

ということを考えたことはありますか?

今回はリハビリやケアで検者・介護者の位置取りについて私の考えをお伝えします。

検者・介助者の位置取りを考えるポイント

  1. 身体が左右対称に使える位置(左右対称の姿勢)
  2. 過剰にのけぞったり前屈みになったりしない位置(前後に崩れない姿勢)
  3. 身体の近くで手を中間位に構えられる位置

できるだけ良い姿勢で、対象者を持つ手が身体から離れない位置で構えるということになります。

ここからは実際の位置取りについて説明します。

対象者に真っすぐ向いて構える

  • 身体や手を左右対称に使用して効率的に運動を誘導できる。
  • 運動方向がわかりやすい。
  • 検者や介助者の体幹が強化され、技術向上につながる。

【悪い例:斜めに構える】

  • 検者・介助者の手が力みやすく、対象者も緊張しやすい。
  • 運動方向がずれやすい。

身体が過剰に前傾しないように構える

  • 身体が前後に崩れない位置で対象者を把持する
  • 肩甲骨外転、胸椎屈曲により手を支持基底面内に収める。

【悪い例:腰が引けた状態で構える】

  • 身体が前後に崩れ、身体を選択的に使えない。
  • 手が体幹から遠くなり力みやすい。
  • 手関節中間位を保持できない。

手関節中間位で対象者をしっかり持つ

  • 手の形は手関節中間位~軽度背屈位が力みにくい。
  • 手関節中間位になるように肩・肘関節で調節する。

【悪い例:手関節掌屈、背屈、尺屈】

手関節掌屈

手関節背屈

手関節尺屈

最後に

対象者を持つ最初の位置取りは、対象者を誘導するための準備になります。

最初の位置取りが悪いと、対象者を動かすときに自身の身体への負担が大きく、対象者も不安になります。

対象者を動かす前にまずは位置取りを考えてみてください。

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